非常用発電機は消防法、電気事業法、建築基準法の適用を受ける設備です。そのため、点検や負荷試験を行う際にも、それぞれの法律に基づいた、点検資格の条件を満たす必要があります。非常用発電機の点検や負荷試験を行う場合は、電気関係と消防設備関係の両方の資格がです。建築基準法は、特定の非常用発電機にのみ必要になりますので、ここでは一般的な設備の資格をご解説いたします。
【消防法】
・消防設備士
・消防設備点検資格者
【電気事業法】
・電気主任技術者
1.非常用発電機点検資格の種類
非常用発電機の実質的な施工者の点検や試験で、必要な資格は消防法に基づいた資格のみです。しかし、非常用発電機は自家用電気工作物として電気事業法の適用を受けるため、”立ち会い”に「電気主任技術者」が必要なのです。少しややこしく感じるかもわかりませんが、非常用発電機は消防法では【非常用電源(自家用発電設備)】、電気事業法では【自家用電気工作物】という役割としての2面性を持っている為、2つの観点からの資格も必要なのです。ちなみに建築基準法では【予備電源】としての役割があります。
(1)消防法で定められた点検資格
消防法では、非常用電源としての役割がある非常用発電機ですが、その保安維持に必要な点検や試験の資格は、
具体的には、
・消防設備士 甲種1類〜5類、乙1〜7類
・消防設備点検資格者 第1種、第2種
となります。
【消防設備士】
消防設備士は、消火器やスプリンクラー設備などの消火設備、自動火災報知設備などの警報設備、救助袋などの避難設備の設置工事、点検整備を行うことができる国家資格である
【消防設備点検資格者】
消防設備点検資格者は消防法施行規則に定めのある、消防用設備等の点検を行うことができる国家資格である。
それぞれ建物において設置されている消防設備が違うため、非常用発電機に適用される資格も変わるということになります。
基本的には点検や試験を行う場合、消防設備点検資格者の第1種、第2種どちらも持っていれば問題なく、非常用発電機の点検資格要領を満たしていることになります。
”消防設備士”
や”消防設備点検”
となります。具体的には、
・消防設備士 甲種1類〜5類、乙1〜7類
・消防設備点検資格者 第1種、第2種
となります。
【消防設備士】
消防設備士は、消火器やスプリンクラー設備などの消火設備、自動火災報知設備などの警報設備、救助袋などの避難設備の設置工事、点検整備を行うことができる国家資格である
【消防設備点検資格者】
消防設備点検資格者は消防法施行規則に定めのある、消防用設備等の点検を行うことができる国家資格である。
それぞれ建物において設置されている消防設備が違うため、非常用発電機に適用される資格も変わるということになります。
基本的には点検や試験を行う場合、消防設備点検資格者の第1種、第2種どちらも持っていれば問題なく、非常用発電機の点検資格要領を満たしていることになります。
(2)電気事業法で定められた点検資格
前述の通り、実質の点検や試験には必要のない資格ですが、電気事業法により定められた
どのような施設でも、非常用発電機が付置される建物は、保安規定が定められており、外部で主任技術者を委託する場合は点検頻度などの規定はあるが、電気主任技術者を自社の社員などで選任する場合は自主的な点検頻度となります。
*これらは電気事業法で定められた点検のことであり、消防法で定められている点検頻度は一定ですので誤解なさらないようにお願いいたします。
電気主任技術者
は、非常用発電機の点検及び試験の際には”立ち会い”を求められます。どのような施設でも、非常用発電機が付置される建物は、保安規定が定められており、外部で主任技術者を委託する場合は点検頻度などの規定はあるが、電気主任技術者を自社の社員などで選任する場合は自主的な点検頻度となります。
*これらは電気事業法で定められた点検のことであり、消防法で定められている点検頻度は一定ですので誤解なさらないようにお願いいたします。
2.非常用発電機の点検資格者における法の構造
消防法により、非常用発電機の点検は有資格者が必要だと明記されておりますので必ず資格が必要です。では、"なぜ資格が必要ない"と言われることがあるのでしょうか?非常用発電機の消防法から資格の実状を把握していきたいと思います。
(1)非常用発電機の点検資格は消防設備士だけ?【消防法】
まず、消防法という一番大きな、枠組みの法律では、
消防法第9条と消防法第17条の3の3が非常用発電機について記載された条文になります。
【消防法第9条】
かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。
【消防法第17条の3の3】
第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては
まずは、こちらで既に点検のためには、消防設備士の資格が必要だとなっており、その他の文を見ると他にも必要なものもしくは、消防設備士以外の資格もあると記されていることがわかると思います。
消防法第9条と消防法第17条の3の3が非常用発電機について記載された条文になります。
【消防法第9条】
かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。
【消防法第17条の3の3】
第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては
消防設備士
免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。まずは、こちらで既に点検のためには、消防設備士の資格が必要だとなっており、その他の文を見ると他にも必要なものもしくは、消防設備士以外の資格もあると記されていることがわかると思います。
(2)消防法第9条に基づいた点検資格【消防法施行令】
消防法施行例は、命令の中でも最上位にあるルールです。
法律から委任された事項について、委任の範囲において定めます。
消防法第9条からの系譜として、下記の消防法施行令第5条に繋がります。
【消防法施行令】
(対象火気設備等の位置、構造及び管理に関する条例の基準)
第五条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備であつて総務省令で定めるもの(以下この条及び第五条の四において「対象火気設備等」という。)の位置、構造及び管理に関し火災の予防のために必要な事項に係る法第九条の規定に基づく条例の制定に関する基準(以下この条から第五条の五までにおいて「条例制定基準」という。)は、次のとおりとする。
消防法施行令については、明確な点検資格名が出できておりませんが、これらをもとに、各々の地方自治体が条例を定めていきます。
法律から委任された事項について、委任の範囲において定めます。
消防法第9条からの系譜として、下記の消防法施行令第5条に繋がります。
【消防法施行令】
(対象火気設備等の位置、構造及び管理に関する条例の基準)
第五条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備であつて総務省令で定めるもの(以下この条及び第五条の四において「対象火気設備等」という。)の位置、構造及び管理に関し火災の予防のために必要な事項に係る法第九条の規定に基づく条例の制定に関する基準(以下この条から第五条の五までにおいて「条例制定基準」という。)は、次のとおりとする。
消防法施行令については、明確な点検資格名が出できておりませんが、これらをもとに、各々の地方自治体が条例を定めていきます。
(3)消防法第17条に基づいた点検資格【告示】
言葉の解釈として”通知”と”告示”では意味合いが変わります。通知はあくまでもマストではなく一例を指し、告示はマストで必ずしなければならないものとなります。
下記リンクにて公表の告示では消防法に基づいた、点検の方法などが告示されており、点検結果報告書において消防設備士及び消防設備点検資格者の欄があり、消防設備点検資格者においても非常用発電機の点検が行えるということになっております。
ここまでが全国一律に定められている法律で、上記の法律を基にそれぞれの地方自治体が条例を定めていきます。
下記からは、東京都の場合を記していきます。
下記リンクにて公表の告示では消防法に基づいた、点検の方法などが告示されており、点検結果報告書において消防設備士及び消防設備点検資格者の欄があり、消防設備点検資格者においても非常用発電機の点検が行えるということになっております。
ここまでが全国一律に定められている法律で、上記の法律を基にそれぞれの地方自治体が条例を定めていきます。
下記からは、東京都の場合を記していきます。
(4)消防法施行令第5条に基づいた点検資格【火災予防条例】
いわいる例規になります。消防法において、地方自治体として定めることができるのが、条例と規則であり、これを「例規」といいます。
【東京都の場合】
火災予防条例第12条2項により第11条の適用を受けることになり、資格者においては、予防事務審査基準に従うとなります。
・火災予防条例第12条(内燃機関を原動力とする発電設備)
2項、、、前項に規定するもののほか、内燃機関を原動力とする発電設備の位置、構造及び管理の基準については、第三条第一項第十三号及び第十四号並びに
・火災予防条例第11条(変電設備)
屋内に設ける変電設備(全出力二十キロワット以下のもの及び次条に規定する急速充電設備を除く。以下同じ。)の位置、構造及び管理は、次に掲げる基準によらなければならない。
上記の構造になっており、要は非常用発電機は「変電設備」の条例の適用を受けますということになっております。
ここでもまだ点検資格についての有無がありません。
【東京都の場合】
火災予防条例第12条2項により第11条の適用を受けることになり、資格者においては、予防事務審査基準に従うとなります。
・火災予防条例第12条(内燃機関を原動力とする発電設備)
2項、、、前項に規定するもののほか、内燃機関を原動力とする発電設備の位置、構造及び管理の基準については、第三条第一項第十三号及び第十四号並びに
第十一条の規定を準用する。
この場合において、同項第十三号ロ中「炉」とあるのは、「内燃機関」と読み替えるものとする。・火災予防条例第11条(変電設備)
屋内に設ける変電設備(全出力二十キロワット以下のもの及び次条に規定する急速充電設備を除く。以下同じ。)の位置、構造及び管理は、次に掲げる基準によらなければならない。
上記の構造になっており、要は非常用発電機は「変電設備」の条例の適用を受けますということになっております。
ここでもまだ点検資格についての有無がありません。
(5)火災予防条例に基づいた点検資格8種【予防事務審査検査基準】
東京都において、予防事務審査検査基準の中で非常用発電機の点検資格について上記の資料の様にしっかりと明記されております。
下記のリンクにソースを貼っていますのでご確認くださいませ。
一番下の資料になります。
各地方自治体でまだ、定めきれていないこともございますので、建物の所在がある都道府県別の消防庁の規定に沿って点検及び整備を行ってください。
【東京消防庁の定める点検資格】
① 電気主任技術者
② 電気工事士
③(一社)日本内燃力発電設備協会が行う自家用発電設備専門技術者試験(自家用発電設備専門技術者)に合格した者(発電設備に限る。)
④ 特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事資格者)(発電設備に限る。)
⑤(一社)電池工業会が行う蓄電池設備整備資格者講習を修了した者(蓄電池設備整備資格者)(蓄電池設備に限る。)
⑥(公社)日本サイン協会が行うネオン工事技術者試験に合格した者(ネオン管灯設備に限る。)
⑦ 特種電気工事資格者(ネオン工事資格者)(ネオン管灯設備に限る。) ⑧ 当該設備の点検及び整備に関し、これらと同等以上の知識及び技能を有する者 a 技術士又は技術士補(電気・電子部門) b 電気工事施工管理技師 c 建築士法(昭和25年法律第202号)第2条第5項に定める建築設備士(避雷設備に限る。) d 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項に定める建築設備検査員(避雷設備に限る。)
下記のリンクにソースを貼っていますのでご確認くださいませ。
一番下の資料になります。
各地方自治体でまだ、定めきれていないこともございますので、建物の所在がある都道府県別の消防庁の規定に沿って点検及び整備を行ってください。
【東京消防庁の定める点検資格】
① 電気主任技術者
② 電気工事士
③(一社)日本内燃力発電設備協会が行う自家用発電設備専門技術者試験(自家用発電設備専門技術者)に合格した者(発電設備に限る。)
④ 特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事資格者)(発電設備に限る。)
⑤(一社)電池工業会が行う蓄電池設備整備資格者講習を修了した者(蓄電池設備整備資格者)(蓄電池設備に限る。)
⑥(公社)日本サイン協会が行うネオン工事技術者試験に合格した者(ネオン管灯設備に限る。)
⑦ 特種電気工事資格者(ネオン工事資格者)(ネオン管灯設備に限る。) ⑧ 当該設備の点検及び整備に関し、これらと同等以上の知識及び技能を有する者 a 技術士又は技術士補(電気・電子部門) b 電気工事施工管理技師 c 建築士法(昭和25年法律第202号)第2条第5項に定める建築設備士(避雷設備に限る。) d 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項に定める建築設備検査員(避雷設備に限る。)
3.まとめ
この記事を見て、どのような資格をご用意すればいいか、どの様な資格が必要なのかを調べる方法がわかったかと思います。
また、資格は法律で定められており、"資格が必要ない"などということはあり得ないことがご理解できたと思います。
昨今、非常に注目され始めた非常用発電機の点検や試験ですが、法改正、整備が全国的に行われていない状況です。よって"資格が必要ない"という法解釈が行われていたのも事実です。
非常用発電機は大型のエンジンであり、それらの整備、試験、点検を行う者は客観的に知識や技能が認められている者でなければ、かなりの危険が伴うのです。
工事業者各位、工事業者に依頼される皆様も自身の建物や資産を守るために点検をすることはもちろんですが、その点検の質にも是非注目してください。
また、資格は法律で定められており、"資格が必要ない"などということはあり得ないことがご理解できたと思います。
昨今、非常に注目され始めた非常用発電機の点検や試験ですが、法改正、整備が全国的に行われていない状況です。よって"資格が必要ない"という法解釈が行われていたのも事実です。
非常用発電機は大型のエンジンであり、それらの整備、試験、点検を行う者は客観的に知識や技能が認められている者でなければ、かなりの危険が伴うのです。
工事業者各位、工事業者に依頼される皆様も自身の建物や資産を守るために点検をすることはもちろんですが、その点検の質にも是非注目してください。